まじか!この格好で富士山登山!運良く遭難を免れた初心者の登山記

富士山・・・・・・

言わずと知れた日本一の山。

天気さえ良ければ東京からでもその姿を拝むことができるし、日本男児に生まれた以上、一度は登ってみたい山である。

蘇る富士山登山の記憶

先日お盆で帰郷して久しぶりに友達と手羽先喰いながら語り合っていると、友人の森本(仮名)と石橋(仮名)が頂上まで登り御来光を見てきたと言う・・・・。

その話を聞きながら思わず遠い目になる俺。

なぜなら若かりし頃!
果敢にも富士山に挑んだ男がいた!!

~イントロ 中島みゆき~

♪風の中のすーばるーー 公園のペガサスゥ~

歌詞でたらめ

いや、ただ富士山登ったダケなんだけどね。

ちょっと色々あったもんで書いとこうと思って。

初心者未満がふいに挑んだ富士山登山

あれはある年の六月下旬・・・。

「あっ、富士山のぼろ」

と思い立った渡部将之(23歳)。

訳などない。
そこに山があるからだ。

当時、上京して1年・・・・
人生を賭けた勝負にでようという男が、日本一の山に登らんでどうする!

と意味不明な力に押され、バイト先に3連休をいれる。

渡部将之

あ、明日から三日間休みます。

え~?理由は?

渡部将之

明日、富士山・・・登るんで。

・・・明後日は?

渡部将之

疲れてるから

しあさっては?

渡部将之

なんとなく

こんなやりとりがあったか無かったかは、今となってはもうオボロゲだが、とにかく時間を作った。

ここまでは良かった。

しかし、当時(今でも)山の事など何一つわからず、富士山は勝手なイメージで、

「老若男女誰でも登れるレジャーな山」

と思い込んでいた。

間違いの始まりだ。

夜中の3時にバイクで富士山登山に向け出発

妙にテンションが上がり、夜中の3時にバイクで家を出る。

「静岡なんて高速ですぐじゃん」と余裕をかまし、ハイロウズあたりを口ずさみながらバイクを駆る!

そして気が付く。
財布に1,200円しか無い事に!

それでもハイになった俺は構わず、

「下道でも十分に時間あるじゃん」

と考え直し、そのまま静岡へと突入。

富士山登山を前にして2人のギャルに出会う

3時間走り、富士山まであと少しと言うところでえらくヤンキーチックな車から声をかけられる。
見ればギャル2人組ではないか!

ギャル美

かっこいいバイクだね~。

渡部将之

あ、どうも。

ギャル子

どこ向かってんの?

渡部将之

富士山登るんで。

ギャル美

お菓子食べる?

渡部将之

いや、もう信号変わるんで。

ギャル子

じゃあね~。

全く中身のない会話でその場をやり過ごす。

しかし、その時、走り去る直前、俺の耳に飛び込んできた言葉が!

ギャル美

でも、いま富士山ってやってるぅ?

バカが!

「富士山」

「やってるぅ?」

とはどーゆーーこっちゃ!

富士山は、

年中無休で富士山じゃバカ女!

・・・と思いつつ、近くのコンビニで板チョコを2枚と500mlのク~(パッションフルーツ)を買う。

おやつだ。何かあれば富士山で買えばいいし。

富士山登山を開始する直前に気付く驚愕の事実

そしてついに富士山到着!

当然、俺は富士山にはいくつも登山道があるという常識を知らない。

よりにもよってバイクを停めたのは太朗合(坊)という五合目の駐車場!

ちなみに一番下の方

そして判明する驚愕の事実!!

富士山には山開きというのがあり、6月下旬はまだ山開き前で午前6時なんざ、ヒトッコ一人いないという事実!

いや常識!!

バカ女なんてとんでもない。

バカはオマエだ!!

と無人の荒野は言っていた。

俺の前にただただ広がる石の斜面。

俺には・・・

地獄の様に見えました。

果てしなく広がる荒野を前に、俺は立ち尽くしていた・・・。

慌てて富士山登山の為の手持ちの装備と恰好を確認

ここは無人の富士山5合目。
勢いONLYでやってきた俺は慌てて今の装備を確認する。

お金

持ち金750円

※ただし山開き前なので当然山小屋はしまっており金は使えない。

飲み物

ク~(パッションフルーツ味)

※ただし500mlのペットボトルで半分は既に飲んでしまった。

食べ物

板チョコ×2

※ただしクランキーミルクチョコ

恰好

服装はジーパンにTシャツ

※ただし一応リュックにMA-1

靴はコンバースのカントリー

※ただし緑色

要するに、山開き前で無人の日本一高い山に、普通に街をふらつく格好でやってきたって事さぁ♪

しかもまだこの時点で、事の重大さをわかっていない。

「みんなが登っていないからと言って、俺が登らないと思っているのか!」

「俺は自分が登りたいから登るだけだ!他人の有無は問題ではない!」

内なる声が囁く・・・・・・・

俺は記念すべき第一歩を踏み出した!

いよいよ初心者未満が富士山登山を開始

もちろん道など標されていない。
だって山開き前だもん!

辛うじて残っている柵に沿って真っすぐ登っていく。
頂上を目指して!

こ・・・・・こんなに山登りってつらいの?ゼェゼェ
お爺ちゃんも、小学生も、楽しく登れる山じゃないの富士山って?

何度も言うが俺は山に関しての知識が全く無い!

加えて一般常識も少し無い!

初心者未満が富士山登山で選ぶ道

富士山の登山道が他にもある事など知らないし。

車で8合目までいけた事など知らないし。

よりによって、

今登っている道が毎年の登山駅伝に使われている事など知らないし。

な・に・よ・り!

ワタクシ、

真っすぐ登ってました!!!

だって近道じゃん!

世間ではこの道・・・・なんて言うか知ってます?

下山道

って言うんですって奥さんんんんんんんんん!!!!!

おいら、3時間バイク乗った身体で

6時間!

競技用にも使われている下山道を、なぁんにも疑わずに登ってましたああぁぁぁぁぁぁ!

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!

世間様の常識に照らしてカテゴライズすると間違いなく「馬鹿」ランク!

富士山登山開始から6時間後

そして6時間後。

満身創痍で8合目に到達しました。

現在の装備

空のペットボトル、板チョコ1枚、750円

頂上まであと、

2合!

ズタボロになりながら8合目に辿り着く。

後から考えれば下山道を逆行して登ってきたんだから当たり前だ。

つーか、

途中四足歩行だったし俺。

・・・・かなりの距離。

休憩所と言っても、もちろん山小屋はやってない

だって、山開き前だもん!!!

だからどれほど喉が渇いていても水などない。携帯も通じない。誰もいない。

この経済大国日本で無人島気分を味わうとは・・・・・。

富士山登山で喉が渇いたときの対処法

しかし、この時間(正午)になるとチラホラ登山者も現れた!

もちろんこっちは8合目。

向こうは遥か下に小さく見えるだけなので会話など出来ないがそれでも気合が入る。

どうしようもなく水分が欲しくて、山腹に残っている雪を食べる。

砂が口に入る。

ペットボトルに雪を入れる。

飽食の日本でまさか砂混じりの雪がこんなに有り難いとは。

富士山登山ゴールが見えてきた9合目

なんか一人でブツブツ言いながらも9合目到着!

時計は14時。
人ともすれ違うようになった!

しかし、どうもおかしい・・・・。
なんか変な目で見られている。

もっと登山者同士声を掛け合ったり、何かこうあるんじゃないか?

と思いつつすれ違う。
※その理由は後に判明するので今は触れない。

とにかく!
ここまで登ったんだ!
頂上まであと少しじゃないか!

上ばかり見上げていても、ちっとも近づかないのに、 しっかり足元を見て、

一歩イッポ登っていけば意外と近くなってたりするのよ。
なにか人生みたいね小鳥さんウフッ♪


疲労のあまり別人に。

富士山登山いよいよゴール直前!9合目半!

そしてついに9合目半ん!
何度も言うが山開き前だ!

道なんざ全く整備されていないから岩とかゴロゴロしている!

しかも、この標高だとがかなり残っている!

以上を踏まえた上で目の前の景色を想像して欲しい!

富士山の頂上付近で登山家が目にする光景のイメージ
※画像はイメージです

クリフハンガー?

え?

絶句した!俺はその光景に!

こんな山はお爺ちゃんは登らない!

お子様だって喜ばない!

なんじゃあこりゃぁぁぁぁ!!!!

なんじゃあこりゃぁぁぁぁ!!!!

山彦

いやおかしいって!
こんなの俺の富士山じゃないって!

家族で行けないって!

俺は思ったね。

「死ぬ」

って!

富士山登山ゴール目前での決断

あっさり決断したね。

「降りよう」って。

不思議と後悔はなかった。

さっき迄、あれほど命懸けで絶対頂上へ!

と頑張ったが、目の前のあまりの光景は俺を引き下がらせるのに十分なクリフハンガーっぷりだった。

絶望・・・・・。

それは

絶望!

「まだ変身するのかよフリーザ!」

みたいな力の差。

だって無理じゃん!

そーいえばすれ違った人はみんなスゲー装備だったよ!

なんかツルハシみたいな道具。

ザイル?ピッケル?

まぁいい。
そんなフルメタルジャケットな方々。

え?

俺?

ジーパンだよ!

Tシャツだよ!

コンバースだよ!!

750円だよ!!!

雪喰ってるよ!!!!

そらぁじろじろ見られるわ。

全てを悟り、俺は頂上に背を向けたのだった。

下山編に続く。

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