富士山登頂記その2

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果てしなく広がる荒野を前に、俺は立ち尽くしていた・・・・・。

 

ここは無人の富士山5合目、勢いONLYでやってきた俺は慌てて今の装備を確認する。

 

 

・持ち金750円

※ただし山開き前なので当然山小屋はしまっており金は使えない。

 

・ク~(パッションフルーツ味)

※ただし500mlのペットボトルで半分は既に飲んでしまった。

 

・板チョコ×2

※ただしクランキーミルクチョコ

 

・服装はジーパンにTシャツ

※ただし一応リュックにMA-1

 

・靴はコンバースのカントリー

※ただし緑色

 

 

 

 

 

 

要するに山開き前で無人の日本一高い山に

普通に街をふらつく格好でやってきたって事さぁ♪

 

しかもまだこの時点で事の重大さをわかっていない。

 

 

「みんなが登っていないからと言って、俺が登らないと思っているのか!」

 

「俺は自分が登りたいから登るだけだ!他人の有無は問題ではない!」

 

 

内なる声が囁く・・・・・・・

 

俺は記念すべき第一歩を踏み出した!

 

 

 

 

 

 

 

もちろん道など標されていない、だって山開き前だもん!

 

辛うじて残っている柵にそって真っすぐ登っていく。

頂上目指して!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こ・・・・・こんなに山登りってつらいの?ゼェゼェ

お爺ちゃんも、小学生も、楽しく登れる山じゃないの富士山って?

 

 

何度も言うが俺は山に関しての知識が全く無い!

加えて一般常識も少しない!

 

 

富士山の登山道が他にもある事など知らないし

車で8合目までいけた事など知らないし

よりによって

今登っている道が毎年の登山駅伝に使われている事など知らないし

 

な・に・よ・り!

 

 

ワタクシ真っすぐ登ってました!!!

 

 

だって近道じゃん!

 

世間ではこの道・・・・なんて言うか知ってます?

 

 

 

 

 

 

下山道

って言うんですって奥さんんんんんんんんん!!!!!

 

 

おいら3時間バイク乗った身体で6時間

競技用にも使われている下山道を

なぁんにも疑わずに登ってましたああぁぁぁぁぁぁ

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

世間様の常識に照らしてカテゴライズすると間違いなく「馬鹿」ランク!

 

 

そして6時間後

 

満身創痍で8合目に到達しました。

 

現在の装備:カラのペットボトル、板チョコ1枚、750円

 

頂上まであと2合!

 

 

 

 

ズタボロになりながら8合目に辿り着く

後から考えれば下山道を逆行して登ってきたんだから当たり前だ。

つーか途中四足歩行だったし俺

・・・・かなりの距離。

 

 

休憩所と言ってももちろん山小屋はやってない、

だって山開き前だもん!!!

 

だからどれほど喉が渇いていても水などない、携帯も通じない、誰もいない。

 

この経済大国日本で無人島気分を味わうとは・・・・・

 

 

しかし

この時間(正午)になるとチラホラ登山者も現れた!

もちろんこっちは8合目、向こうは遥か下に小さく見えるだけなので会話など出来ないがそれでも気合が入る。

どうしようもなく水分が欲しくて

山腹に残っている雪を食べる。

 

砂が口に入る、ペットボトルに雪を入れる、

飽食の日本でまさか砂混じりの雪がこんなに有り難いとは。

 

なんか一人でブツブツ言いながらも9合目到着!

 

時計は14時

 

人ともすれ違うようになった!

 

しかしどうもおかしい・・・・なんか変な目で見られている。

もっと登山者同士声を掛け合ったり

何かこうあるんじゃないか?

 

と思いつつすれ違う。

※その理由は後に判明するので今は触れない。

 

 

とにかく!

ここまで登ったんだ!

頂上まであと少しじゃないか!

上ばかり見上げていてもちっとも近づかないのに

しっかり足元を見て一歩イッポ登っていけば意外と近くなってたりするのよ

なにか人生みたいね小鳥さんウフッ♪

疲労のあまり別人に。

 

 

 

そしてついに9合目半ん!

何度も言うが山開き前だ!

道なんざ全く整備されていないから岩とかゴロゴロしている!

しかもこの標高だと雪がかなり残っている!

 

以上を踏まえた上で目の前の景色を想像して欲しい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリフハンガー?

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

絶句した!俺はその光景に!

 

 

こんな山はお爺ちゃんは登らない!

お子様だって喜ばない!

 

 

 

 

 

 

なんじゃあこりゃぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんじゃあこりゃぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

山彦

 

 

 

 

 

いやおかしいって!

こんなの俺の富士山じゃないって!

家族でいけないって!

 

俺は思ったね

「死ぬ」

って!

 

 

あっさり決断したね

「降りよう」って

 

 

不思議と後悔はなかった

さっき迄あれほど命懸けで絶対頂上へ!

と頑張ったが目の前のあまりの光景は俺を引き下がらせるのに十分なクリフハンガーっぷりだった。

 

 

 

絶望・・・・・

 

 

 

それは絶望!

 

 

 

 

「まだ変身するのかよフリーザ」

みたいな力の差。

 

 

 

だって無理じゃん!

そーいえばすれ違った人はみんなスゲー装備だったよ!

なんかツルハシみたいな道具

ザイル?ピッケル?まぁいい、そんなフルメタルジャケットな方々。

 

え?

俺?

 

 

 

 

ジーパンだよ!

 

 

 

Tシャツだよ!

 

 

 

 

コンバースだよ!!

 

 

 

750円だよ!!!

 

 

 

 

 

 

雪喰ってるよ!!!!

 

 

 

 

そらぁじろじろ見られるわ。

 

 

全てを悟り

俺は背を向けたのだった。

 

 

 

 

下山編に続く。